文系醫學生の記録

北海道大學醫學科學生井上大輔が書いてゐます.

解剖学ラテン語講座 解剖学英語の不合理な点

言語に優劣はない。ラテン語と英語に関し、どちらが良いとか優れていると言うことは本来できない。ラテン語にはラテン語の、英語には英語の、それぞれその言語の培ってきた文化があり、それぞれを尊重すべきである。

 

しかし、解剖学に用いる言語としてラテン語と英語を比較すると、英語の用語には不合理な点が散見される。結果、解剖学学習者にとってはラテン語の方が勉強しやすく使いやすい用語を提供してくれる。本エントリではその不合理な点をいくつか紹介する。

 

系統的でない呼称

肝臓・肝静脈・肝管をそれぞれ英語で言うと、

liver, hepatic artery, hepatic duct

となる。英語では「肝臓 (の)」を言うために、英語固有の「liver」とラテン語由来の「hepatic」の2つを用いる。他方ラテン語では

hepar, vena hepatica, ductus hepaticus

となる。語尾がめまぐるしく変化するようだが、これらは文法規則から機械的に導けるので、恐れることはない。

 

不完全な訳

長内転筋を英語では adductor longus muscle と言う。Longus はラテン語の「musculs adductor longus」からそのまま流用したものである。英語の解剖学用語を作った人はなぜこれを「long」に訳さなかったのだろうか。さらに言えば、英語では形容詞は名詞より前に来るのが本則なのだから、「long adductor muscle」になるべきである。

 

かと思えば、長胸神経は、ラテン語では「nervus thoracicus longus」であるところ、英語では「long thoracic nerve」である。Longus を英語に訳すのか訳さないのか、名詞よりも前に置くのか後に置くのか、一貫していない。

 

 語順のゆれ

 

英語では、形容詞は名詞より前に出すのが原則である。Black dog とは言っても dog black とは言わない。

 

ところが英語の解剖学用語には、この原則を破るものがある。ラテン語の用語をそのまま流用しているためである。例は、

 

vena cava

zona incerta

lamina affixa

stria terminalis

corona radiata

nervi erigentes

foramen cecum

ansa lenticularis

 

があり、このほかにも多数ある。

 

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