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文系醫學生の記録

北海道大學醫學科學生井上大輔が書いてゐます.

N 響と G protein と

医学とことば

NHK 交響楽団」はよく「N 響」と略される。昔この略語を奇異に感じた時期があった。なぜならば、「N」は「NHK」の略であり、さらに「NHK」は「日本放送協会」の略であるところ、「響」は単に「交響楽団」の略であって、いわば「N」はレベル2の略語、「響」はレベル1の略語であるのに、この2つを対等と見て「N 響」と並べるのはおかしいのではないか、と感じたのである。

分子生物学にもこれに似た用語がある。「G protein」である。これは「GTP coupled protein」の略だ。「GTP」はさらに「guanosine triphosphate」の略になっている。なので、「G protein」はレベル2の略語「G」とレベル0の略語 (つまり略語ではない語)「protein」を並べて作った語であり、先ほどの「N 響」と同様に奇異に感じる。

しかし、 G protein は GTP のみならず GDP (guanosine diphosphate) とも結合する。生体内の GTP, GDP に似た物質として、GMP (guanosine monophosphate), cyclic GMP, guanosine, guanine という「Gの一族」がある。この対極に ATP (adenosine triphosphate), ADP (adenosine diphosphate), AMP (adenosine monophosphate), cyclic AMP, adenine という「Aの一族」があり、生物はこの2つの種族の物質をエネルギーの貯蔵、情報の伝達・保存に用いる。ならば、Gの一族のことを「G」と一文字で称し、「G protein」という語を作るのも良いのではないか。いまはそう思う。

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