文系醫學生の記録

北海道大學醫學科學生井上大輔が書いてゐます.

名驛とか札驛といふ呼び方は若者言葉のやうで東洋の傳統に從つてゐる.

名古屋驛を「名驛」と呼ぶ人がある.札幌驛を「札驛」と呼ぶ人がある.これまで私はこれらの語をあまり使はないやうにしてきた.

理由の一つめは,「名古屋」を「名」と呼ぶのは不適切だと思つたことだ.「名古屋」は「名古屋」で一つの語なのだ.「名古屋」を「名」と呼ぶならば「本棚」を「本」と呼ぶことも認めねばならぬ.かつ,「僧帽筋」を「僧」と呼ぶことも認めねばならぬし,「脂取紙」を「脂」と呼ぶことも認めねばならぬ.これらが不合理なのは明らかではないか.「札幌」を「札」と呼ぶことについても同樣である.

理由の二つめは,若者言葉だと思つてゐたことだ.目上の人の前でうつかり若者言葉を使つてしまふと失禮である.なので,若者言葉を普段から使はないやうに心掛けた方が失敗が減ると思つたのである.

しかし,今日考へた.地名を漢字二文字に短縮する例は,ほかにもたくさんある.例へば,

  • 江戶城 -> 江城
  • 墨田川 -> 墨水
  • 赤馬關 -> 馬關
  • 富士山 -> 富嶽

といつたものがある.これらは,中國の地名が多く漢字二文字であるのに倣はうとした結果である.地名を漢字二文字で表さうといふ姿勢は東洋の傳統なのだ.「名驛」とか「札驛」も,決して憚るやうなものではない.

上のごとく氣づいたので,向後は「名驛」「札驛」と盛むに呼んでゆくつもりである.札幌市營地下鐵の「豐水すすきの」といふ驛も,「豐平川」を「豐水」と縮めてゐるのが大變好ましいので,盛むに利用してゆきたい.靜岡市についても,「安倍川」を「安水」と呼ぶことを考へたので,盛むに擴めてゆきたい.

[ 共和通日 81954.617 ]